このサイトについて

自律神経活動を計測する事は、一般的に定義の曖昧な”ストレス”という量を推測するだけでなく、物理現象である生体活動の機能評価として医学的に重要な意味を持っています。自律神経活動を計測する手法は心拍変動を利用する以外にも沢山あります。にもかかわらず、心拍数のゆらぎから自律神経機能を計測する手法が魅力的なのは、計測される人にとっての負荷や手間が少ないからです。よく知られている他のストレスの計測方法としては、血中の自律神経活動に由来する神経伝達物質を直接血液中で計測する方法や、唾液に出てくる神経伝達物質を計測する方法等がありますが、いずれも心拍の揺らぎを計測するよりも大変な作業になります。またこの心拍の揺らぎを計測する手法は、心電図を計測する機器の小型化やインターネットの活用による将来的な広がりが期待させるためか、歴史の古い分野であるにもかかわらず、新たに興味をもって取り組む方や参入する企業がいるのも特徴かと思われます。

その一方で、この分野は、工学と医学・生理学の境界領域のためか、両分野を見通した丁寧な導入用の解説資料に乏しいのが特徴です。マイナーな学会誌に特集が組まれる事もありますが、工学的(数理的)な側面の解説に偏り、生体で起こっている物理現象の理解をほとんど無視していたり、あるいは反対に、医学・生理学的な解説に留まり、使われいる解析手法は与えられた公式を機械的にあてはめるだけ、というお粗末な解説記事が少数あるだけの状態です。しかも、それらの資料の入手は、それなりの規模の研究機関に属している人を除き、なかなか難しいようです。

このサイトの記事は、私がかつてこの分野の仕事をしていた時に用意した導入用資料をもとに、基本的な事項を追加して平易な導入解説になるよう作成したものです。この分野を新しく学ぶ方の手軽な導入資料になることを期待しています。

専門は医工学(Medical Engineering)、制御工学(Control Engineering)、情報科学(Computer Science)の周辺。

現在は民間の研究機関にて修行中。

サイト記載の内容について私の不勉強による誤りなどございましたら hayacoj のあとに @gmail.com までよろしくお願いします。